ブログ2011/06/08

今から１７、１８年ほど前の２月くらいのことと記憶していますが、北京から2時ほど出て天津の田舎を走っていた時、後席にはお客さんも乗せていました。　田舎の交差点に車が差し掛かったときに、横方向から突然サイレンが聞こえパトカーを含めた公安車両が数台連ねてやって来ました。　すると我々前方の信号機のある交差点を封鎖し、強制的に車を停止させられ何事だろうと車の中、４人で見守っていました。　すると何台かの公安車両の後から１０ｔ車のトラック（土砂を運ぶトラック）がまるでパレードの様に１台１台公安車両に挟まれた形でガードされやって来ます。　速度も人が歩く速度で進行しますので、周りの車から人は外に出て見物し、近くの家からもあっという間におじいちゃん／おばあちゃん／孫までが野次馬となって人が溢れてきました。　トラックは全部で６～８台、１台に２人ずつ、荷台に立ったまま後ろ手に縛られ、前を向いて首からプラカードをぶら提げられた人物が乗せられてきました。　　計算すると７台として２人ですから合計で１４～１５人の人間になります。　皆が見守る中（我々も一番前で車を停められたので良く見えました。　トラックの集団はゆっくりわざと進むの首からぶら提げてあるプラカードをゆっくり読む事ができました。　　そこにはその人間が犯した罪状が書き込んであり、判決は全て死刑だと書いてあります。　罪状を見ると大体が、強盗に入って一家皆殺しにしたとか、会社の同僚を何人も毒殺したとかが書かれていました。　　中には一人で８人も殺した者もいました。　そうです、その行列はこれから公開死刑場に向かって行進してゆく”見せしめパレード”でした。　　　　なんと、日本の江戸時代に行われていた”市中引き回しの刑”です。　それを現代の目の前で見る事で、遠い昔にタイムスリップしたような感じになりました。
私は死刑廃止論者ではありませんので、そのプラカードに書かれているような犯罪を本当に犯したならば仕方がないと思います。　　犯罪内容は日本ならば全てトップニュースで流れるような犯罪ばかりですから。　中国人は人口が多すぎるしまあ、死刑もしょうがないなぁ。　でも日本の１５０年前に行われていた事がこの国ではまだ現在進行形で行われている事に唖然としました。　（尚、今現在では見かける事が無くなりました／多分欧米の人権団体の圧力と北京オリンピックのイメージ創りなどで２００７年くらいからは少なくなったようですが廃止されたわけではありません。　２０１０年１０月に西安市で１６人が大衆の前で公開処刑されたそうです。）　なぜ毎年の１月か２月頃にこのようなパレードが行われるかと言うと、その少し後に中国の国民的最大イベントの春節がやってくるからです。　その時には田舎から出稼ぎに出てきている何億人が一斉に自分の故郷に帰るための民族大移動が起き、皆まとまったお金を実家に持って帰ろうとして、犯罪率が急に高まります。　集中的に荒稼ぎをして田舎に逃げ帰り、二度とその都市に戻らない輩もたくさんいます。　そこで悪い事をすると”こうなる”と見せしめで、予め大衆に見せるのだと。　
そのパレードの後を着いて行けば公開死刑場に辿り着き、銃殺刑まで見る事ができるそうです。　もちろん我々は見には行きませんでしたが。　なんとも後味の悪い気分になりました。